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1
Coupling the advection-dispersion equation with fully kinetic reversible/irreversible sorption terms to model radiocesium soil profiles in Fukushima Prefecture
操上 広志; Malins, A.; 武石 稔; 斎藤 公明; 飯島 和毅
Journal of Environmental Radioactivity, 171, p.99 - 109, 2017/05
土壌中の放射性セシウムの鉛直方向移動を記述するための修正拡散-収着-固定化モデルを提案した。このモデルでは、可逆サイトに対するカイネティックスを新たに導入している。このモデルは初期Exponential分布を再現することができる。初期のrelaxation massは拡散深さ、すなわち分配係数、収着速度、分散係数に依存することがわかった。また、このモデルは深い個所での放射性セシウム分布のテイリングを表現する。これは、収着と脱着の速度の違いによるものと考えられる。
2
Modeling watershed-scale $$^{137}$$Cs transport in a forested catchment affected by the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant accident
Wei, L.*; 木内 豪*; 吉村 和也; Velleux, M. L.*
Journal of Environmental Radioactivity, 171, p.21 - 33, 2017/05
This study developed a watershed $$^{137}$$Cs migration model on the basis of the Two-Dimensional Runoff, Erosion, and Export model (TREX) framework and was applied in a forested catchment in Fukushima. This model considered the conditions of $$^{137}$$Cs field loss from the vegetation layer and downward movement in soil, two $$^{137}$$Cs distribution phases in water, and multiple solid particle classes. The model represented observed $$^{137}$$Cs transport well. Our simulations show that the $$^{137}$$Cs was transported from the catchment by clay, silt, and sand at a ratio of 17:70:13. The source of transported $$^{137}$$Cs is estimated to originate from hillside and areas near the river bank, and the accumulation of $$^{137}$$Cs was also evaluated.
3
KURAMA-IIを用いた走行サーベイ測定による東日本での天然放射性核種の空間線量率評価
安藤 真樹; 松田 規宏; 斎藤 公明
日本原子力学会和文論文誌, 16(2), p.63 - 80, 2017/05
走行サーベイ測定における福島第一原子力発電所事故による放射性セシウムの空間線量率への寄与を弁別するため、東日本地域において市町村平均値として天然放射線によるバックグラウンドを評価した。特定のエネルギーウインドウの計数率からバックグラウンドを求める簡易的手法をKURAMA-IIを用いた走行サーベイ測定に適用した。本研究で評価したバックグラウンドの分布傾向は、東日本地域での地質学的特徴を表しており、過去の空間線量率測定結果とも符合するものであった。また、舗装道路上においても地殻$$gamma$$線による空間線量率の特徴を反映した分布となることが分かった。汚染状況重点調査地域の指定を受けているような地域では、2014年時点の放射性セシウムの空間線量率への影響は測定不確かさを超える有意なものであった。その他の区市町村ではほとんど無視しうる程度であった。
4
福島の環境回復に向けた取り組み,1; 環境回復に関する取り組みの進展
宮原 要; 大原 利眞*
日本原子力学会誌, 59(5), p.282 - 286, 2017/05
福島の環境回復に向けた取り組みに関わる連載講座の第1回として、日本原子力研究開発機構と国立環境研究所における環境回復に関する取り組みの概要を紹介する。
5
福島汚染土壌の除染と再利用のためのセシウムフリー鉱化法の開発
下山 巖; 本田 充紀; 小暮 敏博*; 馬場 祐治; 平尾 法恵*; 岡本 芳浩; 矢板 毅; 鈴木 伸一
Photon Factory News, 35(1), p.17 - 22, 2017/05
福島放射性汚染土壌のCs除染と再生利用に対して提案しているセシウムフリー鉱化法(CFM)について紹介すると共に、PFのJAEA放射光ビームラインで実施している研究について報告する。本研究では風化黒雲母(WB)からのCs脱離機構を調べるため、非放射性Csを収着させたWBにNaCl-CaCl$$_{2}$$混合塩を添加し、低圧加熱処理前後での組成と構造変化を調べた。蛍光X線分析により塩無添加の場合でも700$$^{circ}$$Cで約3割のCsが除去され、塩添加時はほぼ全てのCsとKが除去された。一方、Caは温度と共に増加し、700$$^{circ}$$CではSiよりも多い主成分となった。さらにX線回折法、透過型電子顕微鏡による分析によりWBが普通輝石などの異なるケイ酸塩鉱物に相変化することを明らかにした。これらの結果は相変化に伴ってイオン半径の大きい1価陽イオンが排出されるメカニズムを示唆しており、我々はこれに基づいてCFMの着想に至った。また、X線吸収分光法を用いたClの化学状態分析により、塩由来のClが反応の初期段階で粘土鉱物の酸素とCl-O結合を形成しながら生成物の鉱物中に取り込まれることを明らかにした。
6
繊維に接ぎ木した高分子鎖に絡めた無機化合物を利用する放射性物質の除去
斎藤 恭一*; 小島 隆*; 浅井 志保
分析化学, 66(4), p.233 - 242, 2017/04
福島第一原子力発電所では、放射性セシウムおよび放射性ストロンチウムを含む汚染水が毎日多量に発生している。本研究では、汚染水を効率的に浄化するため、Cs $$^{+}$$およびSr$$^{2+}$$を捕捉する無機結晶が担持された繊維を作製した。担持する無機結晶には、それぞれ、Cs $$^{+}$$およびSr$$^{2+}$$に優れた選択性を持つ不溶性フェロシアン化コバルトおよびチタン酸ナトリウムを選んだ。これらの無機化合物の沈殿を、放射線グラフト重合法によって市販の6-ナイロン繊維に接ぎ木した高分子鎖(グラフト鎖)内で析出させることにより、繊維表面に担持した。得られた沈殿は、多点の静電相互作用に基づいてグラフト鎖に巻き絡まるため、安定担持が実現する。本研究で提案する不溶性フェロシアン化コバルトあるいはチタン酸ナトリウム担持繊維は、従来の粒子状吸着材、例えば、ゼオライトやSrTreat(チタン酸ナトリウム担持樹脂)に比べて、吸着速度が大きく、無機化合物重量あたりの吸着量も大きくなった。
7
多段濃縮分離機構を備えるICP-MSによる放射性ストロンチウム分析
高貝 慶隆*; 古川 真*; 亀尾 裕; 松枝 誠; 鈴木 勝彦*
分析化学, 66(4), p.223 - 231, 2017/04
2つ以上の異なる原理による濃縮法や分離法を結合したカスケード濃縮分離法は、分析機器の感度と分析性能を飛躍的に向上させることができる。本論文では、東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所事故を発端として開発されたカスケード濃縮分離法を内蔵したICP-MSによる放射性ストロンチウム($$^{90}$$Sr)分析法について論じた。併せて、本分析法の特徴である混合ガス効果、内標準補正シグナル積算法、スプリットラインを利用する定量と回収率の同時測定法などについて総説した。これらを統合して使用する本分析法の$$^{90}$$Srに対する検出下限値は、20分程度の測定で0.056ppq(0.28Bq/L)が達成可能である。また繰り返し分析精度(n=10)は、10ppq(50Bq/L)に対して相対標準偏差2.9%が得られる。
8
Translocation of radiocesium released by the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident in Japanese chestnut and chestnut weevil larvae
佐々木 祥人; 石井 康雄; 阿部 寛信; 三田地 勝昭; 渡辺 貴善; 新里 忠史
Horticulture Journal, 86(2), p.139 - 144, 2017/04
2011年3月に発生した福島第一原子力発電事故により飛散した放射性セシウムの栗に対する移行を明らかにするために、果実の各部位と葉のオートラジオグラフィと放射性セシウム濃度を調べた。栗の果実は、可食部である子葉と鬼皮の間に薄皮をもつ。果実における放射性セシウム濃度は、鬼皮、薄皮、子葉ともに約1.0$$times$$10$$^{4}$$Bq・kg$$^{-1}$$で各部位においてほぼ同濃度であり、また葉もほぼ同濃度であった。さらに果実に寄生するクリシギゾウムシの幼虫の放射性セシウム濃度は、果実の可食部である子葉の約7分の一であることが示された。
9
Characteristics of radio-cesium transport and discharge between different basins near to the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant after heavy rainfall events
佐久間 一幸; 北村 哲浩; Malins, A.; 操上 広志; 町田 昌彦; 森 康二*; 多田 和広*; 小林 嵩丸*; 田原 康博*; 登坂 博行*
Journal of Environmental Radioactivity, 169-170, p.137 - 150, 2017/04
福島第一原子力発電所周りの流域について水の流れと土砂の輸送による放射性セシウムの再分布を理解するために流域モデリングを実施した。懸濁態と溶存態形態の放射性セシウム移行を計算するために、既往の3次元水理地質モデルを用いた水・土砂モデルを拡張した。2011年9月の台風Rokeと2013年9つの出水時を含む2013年をシミュレーションした。2013年の勢力の強い台風Man-yiと台風Wiphaは放射性セシウムの再分布引き起こした。2013年の9つの出水時に関して$$^{137}$$Cs流出量を計算した結果、観測値をよく再現した。堆積は主に氾濫原や流域下流部の河道が広がるところやダム湖で起こった。5つの流域間での$$^{137}$$Cs流出比の違いは流域内での初期フォールアウトの空間分布やダム湖の存在の有無、土地利用の違いによる河川への供給量の違いによって説明された。これらのシミュレーション結果は環境回復を支援するにあたり、将来の放射性物質の再分布を評価することが可能である。
10
Thermodynamic evaluation of the solidification phase of molten core-concrete under estimated Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident conditions
北垣 徹; 矢野 公彦; 荻野 英樹; 鷲谷 忠博
Journal of Nuclear Materials, 486, p.206 - 215, 2017/04
The solidification phases of molten core-concrete under the estimated molten core-concrete interaction (MCCI) conditions in the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Unit 1 were predicted using the thermodynamic equilibrium calculation tool in order to contribute toward the 1F decommissioning work and to understand the accident progression via the analytical results for the 1F MCCI products. We showed that most of the U and Zr in the molten core-concrete forms (U,Zr)O$$_{2}$$ and (Zr,U)SiO$$_{4}$$, and the formation of other phases with these elements is limited. However, the formation of (Zr,U)SiO$$_{4}$$ requires a relatively long time. Therefore, the formation of (Zr,U)SiO$$_{4}$$ is limited under quenching conditions. The solidification phenomenon of the crust under quenching conditions and that of the molten pool under thermodynamic equilibrium conditions in the 1F MCCI progression are discussed.
11
Heat treatment of phosphate-modified cementitious matrices for safe storage of secondary radioactive aqueous wastes in Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant
入澤 啓太; 谷口 拓海; 並木 仁宏; Garc$'i$a-Lodeiro, I.*; 大杉 武史; 榊原 哲朗; 中澤 修; 目黒 義弘; 木下 肇*
Proceedings of 2017 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP 2017) (DVD-ROM), 6 Pages, 2017/04
東京電力福島第一原子力発電所から発生する汚染水二次廃棄物の安全な貯蔵のために、リン酸セメントを用いて低含水固化技術を開発している。従来のセメントシステムは水和反応を経由して固化し、一定量の水の要求と含有を必要とする。しかしながら、リン酸セメントは酸塩基反応を経由して固化する。それゆえ、水は作業性の観点から必要とされているだけである。水分量が低減されたリン酸セメントシステムは放射性廃棄物による水の放射線分解で発生する水素ガスを低減できるため、安全な貯蔵に貢献できる。本研究は、異なる温度(60, 90, 120 $$^{circ}$$C)の開放系及びリファレンスとして20$$^{circ}$$Cの閉鎖系で養生したカルシウムアルミネートセメント(CAC)とリン酸添加CAC(CAP)の含水率と特性を調査した。CACとCAP中の水分量は時間経過に伴い減少した。$$geq$$ 90 $$^{circ}$$Cにおいて、CAPはCACよりも低い含水率を得た。CAC中の自由水は、加熱処理により構造水に転換したが、CAPでは生じなかった。ハイドロキシアパタイトの前駆相である正リン酸塩が20, 60$$^{circ}$$CのCAP中で発見され、90$$^{circ}$$Cでは正リン酸塩とハイドロキシアパタイトの混合物が発見された。120$$^{circ}$$CのCAP中のリン酸生成物は、20, 60, 90$$^{circ}$$CのCAPと比較して異なるリン酸塩からなるようにみえる。
12
Design of test methods for remotely operated robots utilized for decommissioning tasks
川端 邦明; 谷藤 祐太; 毛利 文昭; 白崎 令人
Proceedings of 2017 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP 2017) (DVD-ROM), 4 Pages, 2017/04
本論文では,原子力緊急時対応および廃炉作業にもちられる遠隔操作ロボットの性能評価とオペレータ訓練のための試験法に開発について述べる.代表的なロボットの作業に対して時間解析を行い,作業効率の関連から環境要因について検証を行った.これらの検証事項にもとづいて,試験場モジュールをいくつか試作し,テストを行った.
13
Development of a numerical simulation method to evaluate molten material behavior in nuclear reactors
山下 晋; 上澤 伸一郎; 吉田 啓之
Proceedings of 2017 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP 2017) (DVD-ROM), 10 Pages, 2017/04
原子力機構では、過酷事故時の炉内溶融物移行挙動進展を現象論的に評価するために、数値流体力学的手法に基づく3次元多相多成分熱流動解析手法(JUPITER)の開発を行っている。本報では、過酷事故時の炉心溶融移行挙動予備解析として、3次元CADデータにより再現した詳細燃料集合体モデルによる溶融移行挙動予備解析、RPV底部から流出するコリウムのペデスタル底部での広がり解析並びに、ペデスタル底部の模擬デブリ周囲の自然対流冷却評価予備解析を実施した。炉心溶融移行挙動予備解析では、複雑構造物内での溶融物の移行挙動解析へ向けたフレームワークを構築することができた。コリウムのペデスタル底部での広がり解析では、ペデスタル底部での溶融物の冷却に伴う高粘性流体を安定して解析できることと、凝固を伴いながら進展する様子を評価できる見通しを得た。模擬デブリの空冷評価解析手法では、平板形状デブリと半球形状デブリによる周囲雰囲気温度への影響評価解析を行い、平板状デブリよりも半球状デブリの方が除熱効果が高いことが分かった。以上より、JUPITERの目標である炉心溶融挙動から圧力容器下部またはペデスタルへの溶融物移行挙動一貫解析を実現できる見通しを得た。
14
Development of non-transfer type plasma heating technology to address CMR behavior during severe accident with BWR design conditions
阿部 雄太; 佐藤 一憲; 中桐 俊男; 石見 明洋; 永江 勇二
Proceedings of 2017 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP 2017) (DVD-ROM), 7 Pages, 2017/04
Authors are developing an experimental technology to realize experiments simulating severe accident conditions that would contribute not only to Fukushima Daiichi (1F) decommissioning but also to enhance safety of worldwide existing and future nuclear power plants through clarification of the accident progression behavior. In the first part of this program, called Phase I hereafter, a series of small-scale experiments (10 cm $$times$$ 10 cm $$times$$ 25 cmh) were performed in March 2015 and it was demonstrated that non-transfer (NTR) type plasma heating is capable of successfully melting the high melting-point ceramics. In order to confirm applicability of this heating technology to larger scale test specimens to address the experimental needs, authors performed a second series plasma heating tests in 2016, called Phase II hereafter, using a simulated fuel assembly with a larger size (100 cm $$times$$ 30 cm phi ). In the phase II part of the program, the power was increased up to a level so that a large temperature gradient (2,000 K/m - 4,000 K/m) expected at the lower part of the core in the actual 1F accident conditions. After the heating, these test pieces were measured by the X-ray Computed Tomography (CT) technology. CT pictures demonstrated its excellent performance with rather good precision. Based on these results, basic applicability of the NTR plasma heating for the SA experimental study was confirmed. With the Phase II-type 100 cm-high test geometry, core material relocation (CMR) behavior within the active core region and its access to the core support structure region would be addressed. JAEA is also preparing for the next step large-scale tests using up to four simulated fuel assemblies covering the lower part of the active fuel and fully simulating the upper part of the lower core support structures addressing CMR behavior including core material relocation into the lower plenum.
15
Demonstration of laser processing technique combined with water jet technique for retrieval of fuel debris at Fukushima Daiichi Nuclear Power Station
羽成 敏秀; 武部 俊彦*; 山田 知典; 大道 博行; 石塚 一平*; 大森 信哉*; 黒澤 孝一*; 佐々木 豪*; 中田 正宏*; 酒井 英明*
Proceedings of 2017 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP 2017) (DVD-ROM), 3 Pages, 2017/04
福島第一原子力発電所の廃止措置の中で、遠隔操作による原子炉格納容器内の燃料デブリの取出しプロセスは重要な課題の1つである。このプロセスにおいて、放射性物質の拡散を抑制することは重要な考慮すべき点の1つである。さらに、このプロセスに適用する技術は、妥当な加工効率を維持することが要求される。そこで、我々は燃料デブリの取出し技術として、レーザー光と水噴流を組み合わせた技術を用いることを提案する。繰り返し断続噴射する水噴流を組み合わせたレーザー加工技術は、効率的な加工を行える可能性を示している。この実験結果をもとに、福島第一原子力発電所での適用に向けた技術開発を進めていく。
16
析出物を伴う懸濁液プール核沸騰熱伝達に関する研究
上澤 伸一郎; 小泉 安郎; 柴田 光彦; 吉田 啓之
Thermal Science and Engineering, 25(2), p.17 - 26, 2017/04
東京電力福島第一原子力発電所事故時の海水注入が伝熱流動へ与える影響を理解するため、伝熱面上の海水塩析出物が沸騰熱伝達へ与える影響の把握を目的とした海水プール核沸騰熱伝達実験を実施した。また、伝熱面に析出物が伴うという共通点を持つナノ流体のプール核沸騰熱伝達実験も実施し、両流体の熱伝達機構の共通点と相違点について議論した。その結果、海水では特定の熱流束を境に一定の熱流束であるにもかかわらず、伝熱面温度が非定常に増加し、限界熱流束の低下が示された。ナノ流体については蒸留水よりも高い熱流束で伝熱面焼損を起こしており、既存研究と同様に限界熱流束の向上を示唆した結果が得られた。この違いは伝熱面上の析出物の構造の違いによるものと考えられる。海水の場合、析出物は熱伝導率の低い硫酸カルシウムであり、時間とともに析出層が厚くなることを確認された。その析出層厚さが増加することで熱抵抗が増加し、熱伝達率ならびに限界熱流束が低下したと考えられる。ナノ流体の場合には、伝熱面上にナノ粒子層が析出したが、その表面は、海水塩析出物とは異なり、多数のマイクロスケールの溝が形成されていることが確認された。その溝を通して液が伝熱面に供給されることで、限界熱流束が向上したと推定される。このように、海水とナノ流体では、共に析出物を伴う流体であっても、その析出物の構造の違いによって沸騰熱伝達へ与える影響は異なる。
17
有人ヘリコプタを用いた放射線モニタリング
眞田 幸尚; 石崎 梓; 西澤 幸康; 卜部 嘉*
分析化学, 66(3), p.149 - 162, 2017/03
2011年3月11日に発生した東日本大震災による津波に起因した東京電力福島第一原子力発電所事故によって、大量の放射性物質が周辺に飛散した。事故直後より、放射線の分布を迅速かつ広範囲に測定する手法として、有人のヘリコプタを用いた空からの測定方法が適用されている。本手法自体は、1980年代に日本独自の手法として研究開発されていたものの、事故直後に適用できる状態ではなく、事故後、モニタリングしつつデータ解析手法をルーチン化・最適化を進めてきた。本稿では、事故後体系化した上空からのモニタリング手法及び測定結果についてまとめる。
18
An Overview of progress in environmental research on radioactive materials derived from the Fukushima Nuclear accident
大原 利眞*; 宮原 要
Global Environmental Research (Internet), 20(1&2), p.3 - 13, 2017/03
福島第一原子力発電所事故による環境汚染の回復に向けた研究の現状として、日本原子力研究開発機構と国立環境研究所を主とする取組みの概要を紹介する。
19
Molecular dynamics simulations of cesium adsorption on illite nanoparticles
Lammers, L.*; Bourg, I. C.*; 奥村 雅彦; Kolluri, K.*; Sposito, G.*; 町田 昌彦
Journal of Colloid and Interface Science, 490, p.608 - 620, 2017/03
 被引用回数:1 パーセンタイル:9.04
分子動力学法を用いる粘土鉱物シミュレーションは、これまで、無限系がほとんどであったが、本研究では、初めて粘土鉱物の微粒子の模型を作成し、セシウム吸着のシミュレーションを行った。その結果、微粒子のエッジ表面において、基盤表面では見られない強い吸着が起こることがわかった。特に、セシウムイオンとナトリウムイオンの強豪吸着では、エッジサイトはセシウムを選択的に吸着することがわかった。また、本研究で開発したエッジサイトの力場の構成法についても解説した。
20
Separation of Zr in the rubble waste generated at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station
島田 亜佐子; 亀尾 裕
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 311(3), p.1613 - 1618, 2017/03
福島第一原子力発電所の事故で発生したガレキ中の$$^{93}$$Zrを分析するために、ガレキ中のZrの分離法を開発した。ほぼ100%のZrとNb, Bi, Th, UとMoの一部は3M硝酸溶液からTRUレジンに抽出され、LiやBe, Mg, Al, Ca, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Ga, As, Se, Rb, Sr, Ag, Cd, In, Cs, Baは溶出することでこれらの元素が分離された。ほぼ100%のZrとNb, U、10%のMo、7.1%のHg、77%のBi、20%のThが0.01Mフッ化水素酸により回収された。超寿命核種である$$^{93}$$ZrをICP-MSにより定量するためには、ZrはNbやMoから分離されなければならない。そのため、この回収フラクションを一度乾固した後、0.1Mフッ化水素酸溶液に調製してTEVAレジンに通液し、ZrをNbやMoから分離した。模擬ガレキ試料の溶解液を用いてこの手法の妥当性を検証した。